魅力溢れる郷土の文化財を次世代に継承する技術力と実績
特別名勝 栗林公園|旧日暮亭 保存修理工事
栗林公園の中でも掬月亭とともに江戸時代の建物として貴重な文化遺産となっています。長年の歴史を誇るこの建物は、過去幾度か修理を重ねていましたが、前回の保存修理から約四十年経過した平成三十年一月から十一月までの約十一カ月をかけて、屋根の葺き替えをはじめ、劣化木材の取り替え、土壁の塗り直し、基礎石の高さ調整などの保存修理工事を実施したところであります。工事に当たっては、文化財保存修理に精通した有識者より工事の段階毎に、また、痕跡調査等においてもご指導をいただき、無事に完了することができ深く感謝いたします。ここに関係者のご尽力に謝意を表します。
平成三十一年三月
特別名勝 栗林公園ホームページ https://www.my-kagawa.jp/ritsuringarden
特別名勝 栗林公園|掬月亭 保存修理工事
屋根(柿葺)
特別名勝 栗林公園内|偃月橋改修工事
長年の経年変化による橋脚及び踏板の腐朽が著しく、危険な状況になることが予想されることから全面的な架替工事を実施しました。既存の橋を実測の上、真新しい同じ素材の材料を使うことから、
橋脚の工事部分を止水するのに利用する「土のう」も、園内環境保持のため、園内の土のみを利用し工事を実施しました。
重要文化財|高松城北之丸月見櫓改修工事竣工
昭和30年(1957年)以来の本格的な外部改修工事を実施。屋根は本瓦葺き谷樋部からの漏水により木部の腐朽が著しい部分があったため、木部修繕と共に全ての谷樋の改修を行った。外壁・軒先・破風は経年による漆喰面の劣化・浮き及び一部荒土を含む剥落が見られたので全面改修を行いその他の箇所は部分的な塗り替えを行った
建物の構造は総塗籠造りの3重3階・入母屋造・本瓦葺きで、初重には切妻破風が見られ、その下部に石落としが設けられています。
月見櫓の特色としては、内部に初層から三層の屋根裏まで通じる4主柱が中央に通っていて、それに粱をかけて組立てていることや外壁に装飾的な黒い長押(なげし)を廻していること、軒は垂木形を塗り出さず一連の大壁としていること、月見櫓より渡櫓に至る一連の建築構造美などが挙げられます。
重要文化財|飛雲閣(旧松平家高松別邸)蘇鉄の間耐震補強工事
飛雲閣は、高松松平家12代松平賴壽により高松城跡の旧三之丸内に松平家の別邸として建てられたと同時に、高松を訪れた来賓をもてなす迎賓館としても利用された。現在も貸館として市民の皆さんに親しく利用されている。
意匠・構造は伝統的な書院造りに洋風建築の要素を取り込んだ近代和風建築で、瀬戸内海を望む北側には内苑御庭を伴う。高松のシンボル的な貴重な建物である。「蘇鉄の間」は飛雲閣で唯一洋間として使われていた。部屋の広さに比して壁・柱の数が特に少なく、開放的な室内空間が大きな特徴である。小屋組みにトラスを採用することで広い空間が支えられている。一方、耐震診断では不安定な構造が指摘され、飛雲閣の部屋の中では最も弱い造りであることが判明した。各学術調査や各専門家委員会などを経て令和2年11月~令和4年2月間耐震補強工事を実施、郷土の貴重な文化財を後世に継承する為に建築業に携わる香川県建築施工管理技士会や香川大学創造工学部など講演会や見学会を開催。
重要文化財|小比賀家住宅 主屋ほか四棟 保存修理工事
主屋、米倉、午門、土塀の修理工事であったが、経年による建物の傾きが酷く、特に午門は保存に支障が出ない程度の鉄骨による建て入れ直し、構造補強工事で小屋組みを支えている扠首受けの補強鉄骨取付が困難を極めたが、無事工事を完了しました。
地域の貴重な文化財の大修理に際して、
国登録有形文化財 | 高松市水道資料館耐震補強等工事
高松市水道資料館は、大正6年から7年にかけて建設された旧喞筒場(ポンプ場)と旧事務室を改装したもので、建設当時の姿を現在も残す歴史的・文化財的価値の高い建物です。これらの建物やその周辺にある施設は、文化庁の「登録有形文化財」に登録されており、郷土の貴重な財産です。建物はかなりの蟻害・腐朽により旧喞筒場(ポンプ場)においては部分解体、旧事務所においては全解体による取外し修復工事など、大変な工事となりましたが、文化財保存修理等に精通した関係者のご尽力により、無事に修復工事及び耐震補強工事の全てを完了することができ、深く感謝いたします。このような貴重な有形文化財の修復は、技術の維持・後継への継承など、大変有意義な事業だと思います。
2020年2月14日「高松市美しいまちづくり賞」を受賞(トピックスに掲載)しました。